引越しの「トランジットアジア」松雪です。
(シンガポール検疫局の名称及びURLの変更により、一部内容をアップデートいたしました。2024/02/09)
5月にご相談を受け、手続きを開始した上海からシンガポールへのワンちゃんの渡航。先日無事!にシンガポールまでの搬送を終えました。
日本からとは異なり、中国からシンガポールへのペットの渡航は残念ながら現地で30日間の係留措置が取られます。
(諸条件を満たせば日本からの場合、到着日当日に開放され自宅まで連れて帰ることができます。)
これは、シンガポールの検疫局(旧AVA→新AVS)が世界各国を狂犬病の発生状況等からA〜Dのカテゴリー分けをして、そのカテゴリーごとに必要書類や係留期間を定めているためです。狂犬病の非発生国の日本はカテゴリーBに該当していますが、中国はカテゴリーD。。。。
また、検疫制度と出国前の中国での事前準備もかなり独特な制度です。
- 事前の準備とAVSを知る
- エアラインの選定
- 渡航当日
- シンガポールでの手続きと係留
- 時系列の流れ(参考)
1、事前準備とAVSを知る(渡航半年以上前を推奨)
中国からの出国条件とシンガポールAVSの輸入条件ですが、現地AVSの条件に見合う処置を中国で進めて行くことが必要です。
(シンガポールへの渡航のご相談を受け、お客様宅にて初めて会ったMailanちゃん。)
AVSの条件(概略)
中国はAVSの狂犬病リスクカテゴリーのDに属します。
一部の品種はシンガポールへ入国が出来ません。(例:Pit Bull, Akita, Tosaなど)
シンガポールの住宅は、ペットの飼育に頭数などの規制を設けています。
マイクロチップの装着と規定の内容で各種ワクチン接種と狂犬病抗体価検査(血液検査)が必要です。
係留施設への事前予約が必要です。(ネットで予約可能です。エアコン有無で料金が異なります。)
Dog License(ワンちゃんの場合のみ) と Import Licence を事前に取得する必要があります。
出国2日前〜7日前に臨床検査を受け、政府機関発行の健康証明書を取得する必要があります。
*抗体価検査はシンガポールへの渡航の場合、中国長春の検査施設でも可能ですが
:入国の最低6ヶ月前までに狂犬病予防接種が済んでいること。
:狂犬病予防接種の最低1ヶ月後、かつ入国の6ヶ月以内に狂犬病抗体検査のための採血を行い、検査結果が0.5Iu/ml以上であること。
の条件があるので、ご注意ください。
*時期により係留施設の空きがなく、予約待ちになることがあります。
*AVS(ANIMAL & VETERINARY SERVICE)
URL: https://www.nparks.gov.sg/avs
シンガポールへの入国条件や、検疫関連準備書類はこちらからダウンロード。
(出国7日前に指定動物病院で臨床検査を終えた、Mailanちゃん。)
(シンガポールのペット輸入許可とドッグライセンス)
(検疫局発行の動物衛生証書と指定健康証明書)
2、エアラインの選定
今回の渡航は、シンガポールエアラインをお勧めさせて頂きました。過去に他のエアラインで直前になり書類を要求されたり、市内のサービスセンターカウンターで同意書の署名を支持されたりと、「すったもんだ」があった為、ここは迷わずシンガポールエアライン。
渡航日と到着時間も要注意です。シンガポールチャンギ空港での検疫局の開帳時間と諸手続きの兼ね合いで、月 – 金 午前8:00 – 18:00 に到着のフライトを予約する必要があります。時間外及び日曜や公休日は不可となります。
事前に南京西路のシンガポールエアラインを訪れた際も的確に必要な書類やケージの事。書類は全て電子メール送付で構わないことの確認が取れたので、安心。受付でご担当頂いた方もとっても親切でした。
3、渡航当日
渡航当日は定刻2時間前にチェックイン。
チェックイン時には、シンガポール航空所定の同意書へ署名しAVA関連書類、中国検疫局の輸出証明書を提示。
シンガポールエアラインではケージを包む網(ネット)の準備はありません。自前で準備をするか(中国のネット通販で50元程度)、出発階にあるバゲージパッキングエリアで20元(2018年8月時点)でケージにバンドをしてもらいます。
(折り畳み可能なケージにしましたが、強度などの点からやはり上下分割の強度のあるケージが無難かも。)
4、シンガポールでの手続きと係留
シンガポール到着後は、イミグレを通過しバゲージエリアでスーツケースなどの預け荷物をピックアップする前に、「Lost & Found」カウンターでAVSの書類を提示し諸手続きを行います。こちらの手続きが完了すると、エアラインから空港内検疫所へペットは転送され、検疫手続きが行われます。
スーツケースなどの預け荷物を引き取り、税関を通り到着ロビーへ。ここで現地の検疫手続きを行う代理業者へ書類を引き渡します。
代理業者による検疫手続き後、毎日1便11:00に係留施設へ搬送され、所定の日数(中国からは30日)の係留期間を待ちます。係留期間中はオーナーさんの面会や、希望のフードを持参したり、施設内の所定スペースで一緒に散歩などが許可されていますので、オーナーさんも少し安心です。
(シンガポールの係留施設へ到着したMailanちゃん)
年中暑いシンガポールですので、ノミ・ダニなどは心配。フロントラインやフェラリア予防の薬は渡航前に対策しておきましょう。
(シンガポールの係留施設内は日曜を除きオーナーさんとの面会や散歩もできます。)
Mailanちゃん。係留明けまでもう少し。早く新しいお家に行きたいですね。頑張れ〜!
5、時系列の流れ(参考)
渡航準備を時系列にすると、狂犬病予防接種と抗体検査の条件をクリアしても、まだまだ渡航までの道のりは長い。。
70日前 係留施設の空き状況と入国受け入れ可能日を確認
50日前 航空券の予約と航空会社へペットスペース申請
30日前 Import Permit申請(有効期間30日)
20日前 シンガポール航空へペット受託同意書提出
07日前 出国臨床検査
02日前 出国検疫書類入手とエンドーズメント
当日 渡航、チャンギ空港入港検疫申請
30日間の係留後にようやくお迎え。。。
ペットの中国からシンガポール渡航、日本からとは異なり中国からは中国特有な事情や、現地シンガポールでは中国からのペットはカテゴリーD(リスク地域)に指定されているので、非常に複雑な手続きです。